テーマ:ジョイ猫物語 第三章(11)
『「おっ!そこ行く二匹さん。寒さで声が出なくなっているようだね」』 バルナバが明るく声をかける。 ラファが答える。 『「バルナバ、本当に君はピエロだね。僕とジョイはすっかり温まっているんだぜ」』 と、安らかに微笑む。 ジョイがバルナバに語りかける。 『「バルナバ、君はどうしてここに僕達がいることを知っていたんだい?待っていたのだろう?」』。 バルナバは楽しそうに、体を左右に揺らしながらからかい半分に答える。 『「そりゃあ、君達の未来のワイフ達が話してくれたのさ。ラブとメイは、集まりの目的を前もってリーダーから聞いていたそうだよ。メイの証言と外出には、飼い主の許可が是非とも必要だからと言うことでね」』 『「それは、本当かどうか分らないなー」』 と、ラファもからかい半分に応じる。 すると、バルナバがジョイを横目で見ながら 『「真実は本人だけにしかないんだよ。だから、ただ信じることだね。何があっても友情は今までどおりさ、変わらないんだ。そうだったね?ジョイ!」』 と、微笑む。 ジョイは自分の語った口調どおりに真似て語るバルナバに可笑しくなり、危うく凍っている塀の隅っこで滑りそうになる。ジョイが笑い出し、バルナバも笑い出す。ラファも何が何なのか分らないまま笑い始める。 冬の真昼時、晴れた空の下で木枯らし吹く中を 「ンーグー、ンーグー!」 と、いう猫の笑い声がアルトベイク市の町に響く。それは若い猫たちの青春の笑い声である。同時に、友情の勝利を意味する歓びの声でもあった。
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