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一 括 講 読

テーマ:ジョイ猫物語 第三章(10)
リーダー猫とパームの会話が続く。
『「パーム、君はね。噂を流して中傷するという大きな過ちを犯したのだよ。考えてご覧。君がラファエルの過去を噂したことは、その過去以上の罪に値するのだよ。過去は、全く問題ではないのだよ。我々猫グループの大切な掟は何でしたか?」』
『「あ、はい、えぇーと愛です」』
『「その愛の最後の言葉を思い出してみようかねー?パーム!」』
『「えーと、愛は他の者を尊重し、不必要に干渉せずに信じる・・・信じる。ごめんなさい・・・やっぱり、僕が間違っていました。ラファ、ごめん。君のことを信じるべきだったよ、僕は」』
パームは泣き崩れる。
リーダー猫がさらに優しく言う。
『「パーム・・・愛は信じる!とても簡単に言えるけど、信じる心を持つことは、とても大変な努力が必要だね。たとえ、ラファエルが過去に過ちを犯したとしても・・・あくまでも仮にですよ。きっと誰にも理解できない深い事情があったに違いないと考えてみることですよ。しかも、それを背負って生きているラファエルを尊重しようではないかね。ではー」』
と、最後に四匹目の猫へと、話は渡される。
『「さあ、さあ、これで集まりは終わります。この件を皆に話してください。皆さんご苦労様でした。寒いので気をつけて帰りましょう。来春の集まりを楽しみにしましょう」』
最後のリーダー猫の爽やかな言葉で終了した。
 十一匹の猫たちは、寒風の中で素晴らしい結果をみた集まりで温かな気持ちを抱き、それぞれが家路へ向かう。ラブはメイをかばうようにして公園を後にした。
 ジョイはと言うと、リーダー猫達に感謝の念を感じつつ、親友ラファと共に無言のまま歩き始めた。
二匹は、何も語らなくても気持ちは同じだった。そう、集まりの開始直前にベンチの上のジョイとその前に立ったラファの眼が合った時から・・・。
公園を出て曲がり角の塀へ登る地点まで来ると、そこには少し離れ気味に揃ったゴールドの眼を輝かせるピエロのバルナバが待っていた。



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